+Genesis+

雀路「メリークリスマス!
竜也「何だ急に・・・。
雀路「この世界では12月25日にはサンタってオッサンがプレゼントをくれるらしいぜ!
竜也「サンタ・・・?
雀路「夜中、寝静まったころに煙突から進入してプレゼントを置いていくらしい。
雀路「しかも世界中の皆の家に!!
竜也「それは不法侵入、というものではないのか?
雀路「ふほーしんにゅう?
竜也「人の家に勝手に入る事だ。この世界では罪になる、と本で読んだぞ。
雀路「マジか!?
竜也「そもそも煙突がある家など、このあたりでは見当たらないが?
雀路「この家にもついてねえじゃん!!
竜也「ああ、ついていないな。
雀路「ガーン!プレゼントがもらえねえ!!
竜也「それに、たった1日で世界中の全員の家をまわるなど、物理的に不可能だ。
雀路「う・・・言われてみればそうだな・・・。
竜也「迷信、というやつではないのか?
雀路「そうなのかなぁ・・・。


武夢「ただいまー。
雀路「お、武夢、綾虎、いいところに!
綾虎「どうしたの?
竜也「雀路とサンタという謎の人物について話しあっていたところだ。
雀路「サンタってオッサンは本当にいるのか?
武夢「実はな、皆が知っているサンタっていうのは仮の姿なんだ。
武夢「本当のサンタってのは、夜な夜な町中を徘徊しては、家に侵入し
武夢「人々を襲うという極悪なジジイなんだ。
雀路「マジか・・・。
武夢「その赤い服は今まで殺してきた奴らの返り血とも言われている。
武夢「いつもは封印されているだが、12月25日だけその封印がとけてしまうんだ。
竜也「この世界にもそんな奴がいたとは・・・。
雀路「竜也、俺達でそのサンタってオッサンを退治してやろうぜ!
竜也「そうだな、もし綾虎や武夢に何かあっては困るからな。
雀路「よし、そうと決まればさっそく行くぜ!
竜也「武夢、綾虎、ちょっと出かけてくる。


武夢「本当に行きやがった。
綾虎「いいのかな?
武夢「いいじゃん、今のうちに準備しとこうよ。
綾虎「そうだね。


雀路「どこにいるんだーサンタのオッサン!
竜也「全身赤い服に、白い風呂敷のような大きい荷物を持っている男か。
雀路「全身返り血だと想像すると、ゾクっとするな。
竜也「そもそもそんな人間がどうどうと表通りを歩いているわけが無い
雀路「そうだな、そういうやつはどっかに潜んでいるんだよ!
竜也「手分けして探そう、このケータイとやらがあれば連絡はとれる。
雀路「そうだな。


−30分後−


竜也「赤い服・・・風呂敷・・・情報とは一致する・・・。
竜也「だが・・・どうも人を襲いそうな気は感じないな。
竜也「皆にケーキを売っているのか?
竜也「とりあえず雀路に連絡するか。
竜也「ケータイを開く・・・左上の本のようなボタンを押し・・・雀路を選択・・・発信。
竜也「よし、完璧だ。


雀路「ケータイから振動が!
雀路「どうすんだっけ・・・えっと・・・
雀路「たしか右か左か、どっちかのこのマークなんだよな。
雀路「こっちだ!
プツッ
雀路「あれ、止まった。
雀路「・・・。
雀路「まぁいいや、探そっと。


竜也「む・・・つながらないな。
竜也「まさか雀路の身に何かあったのか!?
竜也「こうしてはいられない、人が多くて感じとりにくいが、雀路の気を探そう!


−さらに10分後−


雀路「赤い服!白い風呂敷!間違いねえ、アイツだ!!
雀路「ついに見つけたぜ!!
雀路「覚悟しろサンタァアアア!






武夢「ふう、こんなもんかなぁ。
綾虎「すごーい!さすが武夢ちゃん、とってもおいしそう!
武夢「姉さんだって、部屋の中がすっごく華やかになったよ。
プルルルル
武夢「あ、電話だ。
綾虎「私が出るよ。
綾虎「はいもしもし、前浜ですが。
綾虎「警察!?
武夢「げ・・・。
綾虎「はい・・・はい、分かりました、今から向かいます。
ガチャ
武夢「なんだって?
綾虎「はぁ・・・雀路君が大通り暴れてるところを取り押さえられたって・・・。
武夢「あちゃ・・・。




綾虎「本当にすいませんでした・・・。
武夢「よーくしかっときますので。
綾虎「ご迷惑おかけしました。


武夢「はぁ・・・。
雀路「サンタを退治しようとしたら怒られた!
武夢「アホか・・・。
竜也「人違いをしたようだな、お前はもう少し慎重にいくべきだ。
雀路「そうなのか、奴はフェイクだったのか!
武夢「思いっきり叱ってやりたいところだけど・・・。
武夢「元凶アタシだからなぁ・・・。
綾虎「あはは・・・そうだね・・・。
竜也「どうかしたのか、2人とも。
綾虎「実はね―――


雀路「嘘だった!?
武夢「そう、ちょっとからかっただけだったんだけど。
竜也「俺とした事が、すっかり騙されていたようだ。
武夢「まさかこんな事になるとは思っても無かったよ・・・。
雀路「じゃあサンタってのは?
武夢「いないよ、そんな爺さんいるわけないだろ。
綾虎「夢がないなぁ。
武夢「皆が言うサンタさんの正体はお父さんデス。
雀路「親父か!?
竜也「長なのか!?
武夢「生きてるうちの話。
雀路「なーんだ。
綾虎「サンタさんはね、信じてる人のところには来るんだよ。
雀路「マジか、俺にもプレゼントくれるのか!
武夢「良い事をおしえてやろう!
武夢「サンタがプレゼントを渡すのは子供だけだぁ!!
雀路「な、なんだってえええ!?
雀路「じゃあ俺子供!
竜也「馬鹿か。
武夢「それに良い子のところにしか来ない。
武夢「お前は今警察に捕まった悪い子だから来ない!
雀路「えええええ!?
竜也「うるさいぞ・・・。
雀路「じゃあ俺には何もないのか!?
武夢「無いな。
雀路「つまんねー。
武夢「そのかわり、家に帰ればご馳走があるぜ。
雀路「マジか!?武夢の手料理か!?
武夢「うん。
雀路「サンタのプレゼントより武夢の飯だ!
雀路「家まで競争だ!よーいドン!
武夢「あ、待て!ずりぃぞ!!
綾虎「2人ともはやーい。
竜也「まったく・・・あの2人は・・・。
綾虎「私達も走らないと、雀路君に全部食べられちゃうよ?
竜也「ふ・・・そうだな。


−次の日の朝−


雀路「おおおおおおおおお!?
竜也「うるさい!
ガスッ
雀路「ぐはぁ!!
竜也「どうしたんだ・・・。
雀路「見ろよ竜也!俺の枕元にプレゼントがあった!
竜也「・・・まさかサンタなのか?
雀路「そうだよ、サンタだよ!
竜也「良かったな。
雀路「お前はサンタ信じないから来なかったんだぜ!
竜也「俺はもう大人だからだ。
雀路「良いだろー!


綾虎「喜んでるみたいだね。
武夢「うん、やったかいがあったよ。
武夢「そっちはよかったの?
綾虎「竜也さんは、「俺はまだ子供だというのか?」って逆にショックうけそうだし。
武夢「あはは、ありえる。
綾虎「だから昨日、私からあげといた。
武夢「そっか。


竜也「心底興味ないが・・・
竜也「まぁ良かったな、脳内が子供だからきっとサンタも勘違いしておいていったんだろう。
竜也「俺はもう少し寝るから、騒ぐなら外へ行け。
雀路「いえーい、プレゼントプレゼントぉう!ひゃっほう!
竜也「う・る・さああああああああああああい!!
ズガァーン
雀路「ぎゃああああ!!




+TOPに戻る+